ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
あいつが言うように本当に私には血も涙もないのかもしれません、と晴人さんは自嘲した。
「それでもこの道を選んだことに後悔はないのです」
「どうしてですか?」
「弟がこの道に来なくて良かった」
あたしは目を見開いた。
「私達の兄弟の中から誰かが城仕えにいかなければならなかった。私は長男でしたし"サファイア"を継ぐことがほとんど確実とされ、翔太が城仕えをすることが決められていました」
その言葉で思い出す。
代々"サファイア"の一族の者が王族をお守りしていること、そのために兄は城へ行ってしまったと。全て翔太から聞いたことだ。
「でも弟には才能がある。人一倍優しい性格でもある。そんな弟にはこの狭い檻(おり)に留まってほしくなかった」
だから自分が弟の代わりにここに来たのだと晴人さんは嬉しそうに言う。
どんな気持ちで決めたのだろう。どんな気持ちで今ここにいるのだろう。
いくら考えても優しすぎる彼の考えもほほえみすらもあたしには分からない。
「翔太は、そのこと…」
「知らないでしょう。知る由(よし)もありませんから」
「だったら!」
翔太はきっと勘違いをしていると言おうとするけど、それを遮るように晴人さんが「いいのです」と言う。
「弟が今自分のやりたいことができているのなら、それで」
すっかり暗い話をしてしまいましたね、と晴人さんは笑う。
いいわけがないと大声を出したかった。
だけどその言葉も衝動も、晴人さんの悲しい笑顔を前にすると消えててしまう。
「晴人さん…」
「内緒にしてください」
そう言って晴人さんはまた笑う。
きっと晴人さんには色んな思いがある。それでも全てをかみ殺して笑顔で覆い隠してしまっているのだろう。だからみんな知らないのだ。
その笑顔の下にある本当の気持ちを。
「それでもこの道を選んだことに後悔はないのです」
「どうしてですか?」
「弟がこの道に来なくて良かった」
あたしは目を見開いた。
「私達の兄弟の中から誰かが城仕えにいかなければならなかった。私は長男でしたし"サファイア"を継ぐことがほとんど確実とされ、翔太が城仕えをすることが決められていました」
その言葉で思い出す。
代々"サファイア"の一族の者が王族をお守りしていること、そのために兄は城へ行ってしまったと。全て翔太から聞いたことだ。
「でも弟には才能がある。人一倍優しい性格でもある。そんな弟にはこの狭い檻(おり)に留まってほしくなかった」
だから自分が弟の代わりにここに来たのだと晴人さんは嬉しそうに言う。
どんな気持ちで決めたのだろう。どんな気持ちで今ここにいるのだろう。
いくら考えても優しすぎる彼の考えもほほえみすらもあたしには分からない。
「翔太は、そのこと…」
「知らないでしょう。知る由(よし)もありませんから」
「だったら!」
翔太はきっと勘違いをしていると言おうとするけど、それを遮るように晴人さんが「いいのです」と言う。
「弟が今自分のやりたいことができているのなら、それで」
すっかり暗い話をしてしまいましたね、と晴人さんは笑う。
いいわけがないと大声を出したかった。
だけどその言葉も衝動も、晴人さんの悲しい笑顔を前にすると消えててしまう。
「晴人さん…」
「内緒にしてください」
そう言って晴人さんはまた笑う。
きっと晴人さんには色んな思いがある。それでも全てをかみ殺して笑顔で覆い隠してしまっているのだろう。だからみんな知らないのだ。
その笑顔の下にある本当の気持ちを。