溺愛伯爵さまが離してくれません!

伯爵さまの変化

・・・お酒臭い。

扉を開けると、むわっとしたアルコールの香り。
思わず鼻と口を手で覆ってしまいます。

伯爵さまはというと、寝台ではなく椅子に腰かけ、机にうつ伏したまま寝ておられました。
寝ている伯爵さまの横には、空になったグラスと強いお酒の瓶。

「伯爵さま・・・」

呆れたようにため息を付くと、私は伯爵さまの身体を揺らして起こそうとします。

「伯爵さま、起きて下さい。もう朝ですよ」

ゆさゆさと揺らしても、伯爵さまに反応はありません。
もう一度、今度は声を張って起こします。

「伯爵さま!起きて下さい!!」

唸るような声を上げながら、伯爵さまの顔が歪みます。
そして頭を抱える様にして、ゆっくりと動いていきます。

「う・・・。頭が痛い・・・」

「・・・大丈夫ですか?お水を持ってきましょうか」

「頼む・・・」

またため息を付くと、私は急いでお水の準備をしに食堂へと向かいます。

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