四百年の誓い
紫色の都会
***


 札幌の春の夜は幻想的。


 桜は散っても、入れ替わりに様々な花たちが満開の時期を迎える。


 まさに百花繚乱。


 日没時刻はますます遅くなり、夜の八時くらいまで西の空は明るい。


 夕方が長く続く。


 紫色の黄昏の中、街行く人々の胸はときめく。


 ……美月姫も雑踏の中、大学から札幌駅北口へ向かって早足で歩いていた。


 間もなく清水優雅が、函館からの特急で札幌駅に到着する。 


 半月ぶりの再会。


 「!」


 鞄のポケットの中の携帯が、震えたのを感じた。


 優雅からのメール。


 定刻通り札幌着。


 自分が駅に着くより、優雅が改札から出てくるのが早くなりそうだったので急いだ。
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