御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
秘密の秘書レッスン
可憐さんの身代わりに秘書になって、今日で早三日。

私はCEO室の片隅に席を作ってもらい、『Teddy 's Company』のCEOである西条怜人と、ほぼ一日中一緒に過ごしている。

CEO室の隣にある秘書室には、第一秘書の六車さんはじめ、イギリス人女性の第二秘書、書類関係を補佐する日本人女性とスタッフは三人いるが、みんなCEO室ではなくのそちらの秘書室に詰めている。

当然、私もそちらに行くべきではないかと申し出でみたものの、スタッフ全員に『そのままでいい』と即答される状態だ。

そして、私の仕事内容というのは……。


「理咲、少し頭をすっきりさせたいから、ムーンバックスカフェのストロングブレンドを買ってきてください」

とか、


「理咲、今日の会食のネクタイは、どれがいいと思いますか」

とか、


「理咲、感じの良いレストランを見つけたから、市場調査も兼ねてランチに行きましょう」

とか、仕事かどうか分からないようなものばかりだ。

あとは彼が難しい顔でパソコンに向かうデスクの横で、顧客データの整理などをして過ごしている。
こんなので本当に良いのだろうかと不安だが、今のところ与えられた仕事はそれくらいしかない。

< 41 / 242 >

この作品をシェア

pagetop