彼の瞳に独占されています
◆偽り続けていた気持ちとは


サービス業の私達は、世間は休日の週末が忙しい。

セールをしていたこともあって、普段よりも混雑した週末を乗り切ると、疲れも溜まってはいるけれど、ストレス発散のためにパーッと飲みたくなった。

そんな時、タイミング良く弥生ちゃんが、『ビアガーデンに行きませんか?』と誘ってくれた。なんでも割引券をもらったのだとか。

私は二つ返事で承諾し、休みの前日、仕事が終わったら行こうとさっそく決めて今に至る。


「あー、やっぱり外で飲むビールは格別ですね~!」


星空の下、白いおヒゲを作った顔すらも可愛い弥生ちゃんが、ジョッキを片手に明るい声を上げた。

駅から徒歩ニ分のホテルの屋上で開催されているこのビアガーデンでは、飲み放題なのはもちろん、焼肉も食べ放題。私達もコンロを囲んでいる最中だ。

周りはグループで来ている人達が多い中、女子ふたりだけど気にしない。

せっせとお肉や野菜を焼く私に、弥生ちゃんがメニューを見ながら問い掛ける。


「先輩、豚トロ食べませんか?」

「豚トロねー、好きなんだけど胃がもたれるんだよなぁ」

「歳ですかねぇ」


平然と地雷を踏んでくる彼女をじろりと見ると、あはっと笑って、「やっぱりハラミかな!」とか言っている。

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