神様修行はじめます! 其の五
近づく崩壊の足音
 得体の知れない不安が、ジワジワと膨れ上がる。


 いつも、なにがあっても、結局は帰ってこられる場所があるって事実はすごく大きい。


現世は、あたしの心の支えのひとつなんだ。


 この世界が騒動に巻き込まれて、これまでとは違った世界になってしまうなんて嫌だよ。


 ただの取り越し苦労ならいいけど……。


 ……あああぁぁ、もう! それもこれも、あれもどれも、全部ぜんぶぜーんぶ門川君が悪いんだっつの!


 門川君、今頃どうしてるのさ!? ちゃんと晩御飯は食べたの!? 屋根や壁のある場所で休んでる!?


 あんなハタ迷惑な大技発動しちゃって、体力消耗してない!?


 チクショーばっかやろー! あたしも、こんな目にあわされてんのに、なんで門川君の心配なんかしてるかなー!


 恐るべし門川君め! 負けるもんか! 今度会ったら胸ぐら引っ掴んで、全力で往復ビンタをお見舞いしてやるからなー!


 決意も新たにお風呂から出たあたしは、仏壇に手を合わせて心から祈った。


 じー様、どうか守って下さい。


 この世界のこととか、あたしの行く末とかを、導いて下さい。


 自分で出来ることはちゃんと自分でするつもりだし、責任の丸投げなんてするつもりはぜんぜんないけど。


 でもちょっとだけ、全てがうまく運ぶように、力を貸して下さい。


 そして願わくば……


 門川君の心が、変わらずあたしに向いてくれていますように……。






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