君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
気恥ずかしさから、顔を背けながら二人して頬を赤らめる。

「えっと…。
あ、そうだ。そろそろ行かないと。

また戻ってくるから、そのときまでここに隠れてて」

「…うん」

返事をするけど、心の中は寂しさでいっぱい。

さっきから少しもこっちを見てくれないし。
呆気なく去ってしまう背中を見送ると、胸の中に切なさが残る。

本当に行っちゃうんだ…。

しかし、扉を開けて出て行こうとしたとき、ひらりとこちらに振り返った。

ん?

戻ってきたかと思うと、私の頭の上に手を置いた。
大きな手にくしゃりと撫でられてる。
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