恋蛍2~トワイライト色の約束~
イノセントパープル

天使か悪魔か

ビー、ビビ、と枕元でスマホが震えてはっと目を覚ました。


「……誰ね」


画面をタップし、寝ぼけ眼をパチパチさせる。


【おはようさん
 今日ヒマかね?
 課題手伝ってほしくてさ
 もちろんタダとは言わん
 タコライス付きさ
 どうだね?】


『タコライス』の文字を発見した瞬間、眠気は完全に吹っ飛んだ。


いいね。


悪い話じゃないさ。


そのラインメッセージは、親友であり幼なじみでもある喜屋武律(きゃん りつ)からだった。


午前8時。


くああっ、と顎が外れてしまいそうなほどの大あくびをして起き上がる。


スマホを握ったままベッドを出て窓辺に立ち、勢い良くカーテンを開けた。


両腕を上にぐぐーっと伸びをすると、もうひとつおまけのあくびが出た。


昨日までの台風がウソみたいに穏やかな朝だ。


「いーやあ、晴れたねえー」


いい天気さ。


外は清潔な青空が広がっている。


【仕方ないね
 手伝ってやるさ】


メッセージを送ると瞬時に既読になり、また直ぐに返ってきた。


【助かった!
 さすが結弦だね
 昼頃ウチに来れるかね?】


OK 、とスタンプを押した時だった。


こつん、こつん、と部屋のドアがふたつノックされ、数センチ弱開いた隙間から小さな顔を覗かせたのは10歳下の弟、翔琉(カケル)だった。


「兄ィニィ」

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