『莉子』
あれから長い月日が経った。
社会人になって、精一杯仕事に励んで、それなりに、恋もして。
もう、忘れたと思ってた。
忘れた––はずだった。
なのに、私を呼ぶ声で、たった一瞬で引き戻された。幸せに溺れたあの頃が私の脳裏を駆け巡る。
『––迎えに来た。』
あの頃と変わらない微笑み。
私が大好きで仕方なかった人。
この人がいなければ生きていけないと私に思わせた人。
私を溺愛して––そして、狂わせた人。
『おいで、りぃ』
誰かが言ってた。
愛されることは世の中で一番幸せなことだって。
でも、私は知ってる。
過度な愛情は、時に人を狂わせるってこと。
溺愛男子 × アラサー女子
『俺から逃げるなんてバカなこと、もう2度と考えないようにしつけ直さないとね?』
「っ…!」
この男、この上なくキケンです…っ!
2017.07.11 -
オススメ作品に選んでいただき
ありがとうございました!
(C) Seori Nonomura,