鈴村 彩月
成宮 彰人
「ひどくしてください」
私の希望は、ただそれだけだったのに。
「どうせ〝イケナイこと〟するなら、もっとデカいことしてみてもいいんじゃねーの? あー……そうだな、一ヵ月くらい家出でもして俺の部屋にくるっていうのは?」
成宮さんのわくわくするような誘いに心が跳ねてしまう。
「成宮さん。今気付いたんですけど、これだと北枕ですよ」
「俺、そういうの気にしないし向きなんかどうでも……おい。話してる途中だろ。枕の位置変えるな」
交わす会話があまりに楽しくて、ずっとと望んでしまう。
「おまえが好きだ」
「もう、聞きました……」
「何度言ったっていいだろ」
成宮さんのまっすぐな気持ちに応えたいのに。
本当は、もっと一緒に過ごしたいのに。
「私も……好きでした」
気持ちを隠したまま勝手に部屋を出る私を、成宮さんは怒るだろうか。
「……さよなら」
2017.12.26 完結公開
※文庫化に伴い、2018年4月10日をもちまして試し読み(一部公開)とさせていただきます。
申し訳ありません。
好評発売中
あらすじを見る
親の言いなりで生きてきた地味OLの彩月は、一度くらいハメを外そうと、出会ったばかりのイケメン、成宮と関係を持ってしまう。その場限りのはずが、「一ヵ月くらい家出してみたら?俺んちに来いよ」といたずらっぽく誘われ…。彼の高級マンションで同居することに。その後、成宮が新しく赴任してきた副社長だと発覚!戸惑う彩月だけど、とことん溺愛&甘やかしてくれる彼に、心奪われていき…?
目次
- 「ひどくしてください」
- 「〝イケナイこと〟がしたいんです」
- 「たぶん、疑われてます」
- 「キスくらいできます」
- 「あまり信用しないでください」
- 「思わせぶりな態度は困ります」
- 「好きだなんて、言わないで」
- 「成宮さんが初めてです」
- 「……さよなら」
- 「隠してくれてたんでしょう?」
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