溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
誰にも取られたくない、身勝手な想い
彩音との待ち合わせ場所にたどり着いたものの、帰宅ラッシュの時間と重なり、駅の改札口前にはたくさんの人で溢れていた。

「まだ来ていないかな」

着いたら電話をくれることになっている。

周囲をキョロキョロと見回すものの、肝心なことに今さらながら気づく。そう言えば私、最近の彩音の姿を知らない。

私の中の彩音は幼さが残る十三歳の姿のまま。今はえっと……もう二十一歳だよね? どんな風に成長しているんだろう。

いつでも電話がかかってきてもいいようにスマホを握りしめ待っていると、前方から歩み寄ってくる女性がひとり。

遠目からでもわかるほど、可愛くて一際目を引く人物。

もしかして彩音……?

ドキドキしながら様子を見ていると、彼女はキャリーケースを引きながら真っ直ぐ私の方へ向かってきた。

近づくたびに鮮明に見えてくる。色白の肌にクリッとした二重瞼の目。サラサラのショートヘアは一際彼女の魅力を引き立てている。

現にすれ違う若い男性は彼女を振り返り見るほど。
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