王子は冒険者になる!

小さな婚約者?



***


「え?婚約者?」

し、知らなかった。
俺、いつの間にか将来の相手がいたらしい。
マジかー。さすが王子 だな。

確かにちょっと前10の誕生会のとき
女の子紹介されたなぁ。
あれか!



ちなみに、今俺、ピンチ。

婚約者がお見えですって
え?と思っている間に
部屋に通されて
ちゃっちゃとお茶の用意をされて

上手にお辞儀をしているかわいいらしい少女に
俺 作り笑いしかできない・・・
「ど、どうぞ?」
とりあえず椅子をすすめてみる。
おぉ。黄色というか、レモン色のきれいな髪の毛に
茶色の瞳。お人形のように愛らしい。
将来、美人になります!って子だな。

「よく、来たな・・・?」
いちおう、
挨拶をしてみる。

彼女は深々と腰を落として少し頭を下げる。

そして、彼女は小さな声で
「お久しぶりです・・・殿下。ーーーーでーーございます。」
ってささやく。

きーこーえーなーいーーーっ
名乗った?
名乗ったよね、今。

聞き返してもいい??

失礼になる?どうしよう。

えぇっと、たしか、
名前・・・
記憶を探る。

公爵家の・・・
なんだっけ?

イヤーな汗が流れたところで、

「セリィローズ=ナリ=モンレ公爵家のご令嬢です。」

小さな声でセーラが教えてくれる。
ナイス!セーラ!

「セリィと、よんでも?」
「はっはいぃ。恐れ入ります。フランチェスコ殿下。」
で、殿下?!
仰々しくない?

緊張しているのか、
言葉を少し上ずらせて セリィは真っ赤になる。

「あーー、緊張しているんだね?
 えぇと、フラン、と呼んでいただけますか?」
「えっ。その、恐れおおい・・・」
「フラン、と。」
じぃっと、セリィを見つめてプレッシャーをかける。

「ぅ。はい。フラン様。」
あきらめたように、セリィはつぶやいた。
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