リンゴンと鐘が鳴る。
晴天のチャペルを前に、
遊佐水都子(ゆさみつこ)は立ちすくんでいた。
腕をとって共に入場するはずの父の怒りは水都子以上で、
先に怒られてしまうと、
一緒になって怒るわけにもいかず、
どう言ってこの場を収めようかそればかりを考えていた。
兆候はあったけれど、
まさか一番まずいやり方でそれをされるとは思わなかった。
想定外の事態が起きると、
人は思考停止してしまうのかもしれない。
結婚式直前で新郎に逃げられた水都子は、
元々結婚後退職予定だった為、
元の職場へ戻る事もできず、
一族が経営している「ポラリスリゾーツ」へ入社する。
社長が妹、
副社長が弟、
会長は父、
という環境で、
ひっそり静に淡々と仕事をする事を望むが、
思い通りにはいかず……。
- あらすじ
結婚式当日、花婿に逃げられた会長令嬢、水都子と、
水都子の妹が社長を務めるポラリスリゾーツ、システム課係長の間藤。
逃げられた花嫁と見物人という不本意な出会いからの再会。そして……。
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