同期のあいつ

セクハラ接待

指導係が私から高田に変わり、小熊くんも随分おとなしくなった。
今まで何度注意しても直そうとしなかった茶髪も落ち着いた色に変わり、身につける物や雰囲気も少しだけ大人になった。
私には反抗してばかりだったのに。
やっぱり、高田はすごいわ。

「鈴木チーフ」
定時前のバタバタした時間に、高田に呼ばれた。
「はい」
「今日は接待だったよな?」
「ええ」
今までは小熊くんを連れて行っていたけれど、今のところは1人で行く予定。

「1人で行くなよ?」
え?
「今日の取引先、部長がセクハラまがいのことをするから」
ああ、そうだった。
でも・・・

「大丈夫ですよ」
軽く言うと、

「俺が行こうか?」
怪しいぞって顔。

「いいです。誰か探します」

本当は1人で行くつもり。
接待くらいちゃんとできるから。

「一応、場所と時間を俺にメールしておいて」
「はい」

これ以上言えばもめるだけ。
おとなしく、場所と時間を高田に送った。

ったく、どれだけ信頼がないのよ。
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