同期のあいつ

変らない日常

8:00
いつもより少し早めに会社に到着した。

いつもなら当番の子がコーヒーのセットをしてくれているはずなのに、今日はまだらしい。
私はデスクを片づけると、給湯室でコーヒーのセットをした。

「あれ、一華さん早いですね」
立ったままコーヒーを口に運んでいた私に声を掛けて来たのは、後輩の萩本可憐ちゃん。

「うん、早く着いちゃったの。コーヒーセットしといたよ」
「ありがとうございます。でも、一華さん当番じゃないのに、」
「いいのよ。私が飲みたかったし」
「・・・」
ちょっと不満そう。

私は総合職の営業。
可憐ちゃんは一般職の事務。
企業の中のこういう壁は結構高くて、色々と面倒くさい。

そもそも、一流大卒の総合職の女性達は雑用をしたがらない。
まあ、私は気にせず何でもするから、例外らしいけれど。
彼女達には入社したときからエリート意識みたいなものがあって、「私はあなたたちとは違うわ」って態度の子が多い。
もちろん、求められるスキルもノルマも高いわけで、仕方がないかなあと思う部分もあるけれど・・・
そのことと日々の掃除やお茶当番をしないのは違うと思う。しかし、うちの会社では慣例的に総合職の女子にお茶くみや掃除の雑務は回ってこないことになっている。
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