同期のあいつ
「オフィス用に何点かご用意しましたけれど、お好みがありますか?」
「いえ、お任せします。オーナーのチョイスに間違いはありませんから」
「では・・・」
これなどはどうでしょうと出してくれたシンプルなワンピースに薄手のカーディガン。

フーン、私なら絶対に選ばない服。
いつもスーツばかりだから新鮮でもあるけれど・・・随分柔らかい感じ。
まあ、今日は外回りの予定も無いから問題ない。

「これをいただきます」
「着て帰られますね」
「はい」

早速フィッティングで着替え、自分のカードでお支払い。
有名ブランドのお高い品がメインのセレクトショップの中でも比較的お手頃価格の服を選んでもらったようで、私でも支払いができた。
足らなかったら母さんのカードで払おうと思っていたから助かった。
きっと私の事情をわかっていて、オーナーが選んでくれたんだと思う。

これからは会社に予備の服をおいておこう。
さすがに朝帰りを正当化するつもりはないけれど、私が一人暮らしならこんな事にはならなかったはず。

はぁー、もぉー。

28にもなって実家暮らしなんかしてるからこんなときに困るのよ。
でもまあ兄さんに言わせれば、こんな事態を招いた私が悪いってきっと言うわよね。
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