好きなんだから仕方ない。
十一章・長かった始まり

無茶でも良いの

パドメの最後の言葉が印象的だったんだと思う。ただ助けたかった。ガドウと会うまで望んだ事もなかったはずなのに、そうだったと思い出したような感覚に陥った。
その子より早く消滅させられる子もいたのにその子が良い、その子しかいないと思えた。消滅に立ち会う神、ウデルクがもういなかったから間に合わないかもしれないとも思った。でも、間に合ってと願い続けた。
リッヅとの特訓のおかげで神の行動までは動かせないと聞いていたから。消滅を実行に移すのはウデルクだから。

「いた・・・!待って!ウデルク!」

「待ちませーん。執行しまーす」

「ダメッ!!」

ステアダの背中から飛び降りて向けられたウデルクの手の平に背を向け、その子を守るように抱き締めた。私の翼はその子の消滅と引き換えに一つ無くなった。
安い代償だと私は思う。だって二つある翼が一つ無くなる事でたった一つの命を守れたのだから。
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