小国の乱立する島国には、大勢の「傭兵」……戦いを生業とする雇われ者がいた。
実態は暗殺業者、ケンカ屋、本格的な兵士まで様々。

これは、
諍いの絶えない世の中で、
ふりかかる争い事を斬り伏せて進む
傭兵の少女サヤと、
畑を耕していながら
戦いから逃れられない
青年ヤイバの、
剣戟の物語。

腕利きの傭兵として、数多の戦場を渡り歩くサヤ。
仕事が一段落した時だけ、彼女は山あいの、林に囲まれた小さくて温かい家に帰ってくる。
そこには青年ヤイバが、地道に畑を耕しながら生活していて、いつだって彼女を優しく迎え入れてくれた。
「一緒に畑を見ようよ」
と誘うヤイバに、サヤは応えないまま、再び戦に向かう。
帰ればいつだってヤイバに抱きとめてもらえると、そう信じて疑わなかった。

そんなある日、サヤの同業者の少女、ナギがヤイバの家に現れる。
ナギはサヤに頼まれて、サヤの新しい髪留めをもらいにきたのだ。
戦いについてヤイバが問うと、ナギは答える。
「戦いは終わらない。どちらかが力尽きるまで」
ナギは戦場に舞い戻るが、やがて、荒んだ争いに嫌気が差し、再びヤイバのもとを訪れる。
「その鍬を貸して」
ナギはヤイバの畑を共に耕す農民となった。

一方、サヤには次々と依頼が舞い込み、サヤは何を思うことなく、淡々と仕事をこなし続けていた。
次の依頼は、傭兵タカキの暗殺。
依頼者はタカキの姉だった。
タカキは、気に入らないものを片っ端から斬って捨てる、傭兵とは名ばかりのどうしようもない悪人だった。周囲に迷惑だけをかけて、楽しそうに笑うタカキは、サヤに興味を持ち、サヤの大切なもの……ヤイバを殺そうと試みる。

ヤイバもまた、以前は名の通った傭兵だった。
家を襲撃されてなお、ヤイバはタカキに屈しなかった。
駆けつけたサヤは、温かだった家の惨状を目の当たりにし、ようやく自分の過ちに気が付く。
「私はずっと、甘えて、気付かないふりをしていたんだ。
私はヤイバのために、……ここを守るため、戦わなくてはいけなかったのに」
ナギがサヤの盾となり、サヤはタカキを倒す。
最後の仕事を終え、サヤは、今までたくさんの幸福をくれた温もりを求めて、手を伸ばした。
「ただいま」

「おかえり」

あらすじ

傭兵サヤをはじめとする、登場人物それぞれの「戦い」の物語。
仕事で多忙な妻と、家で待ち続ける夫の話でもある。

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プロット  和風  戦い  夫婦  共働き