満月は遥か彼方、その水平線に沈みゆく。海面に光り輝く永遠の旋律を伸ばしながら。眠りから醒めんとする魂に最大の光を与えながら。
 透明となった自らは、月と海と、贈る調べと一体となる。自らの魂を込めたこの箏奏は最愛の、その魂を呼び覚ます。
 呼び覚まされし魂は、眩い月を揺らすほどに透明な歌声を響かせる。その歌声は贈る調べと調和して、果てなく広がる海を永遠に青白く輝かせる。

 月は海は、この調べは、彼女に永遠の生を与えるであろう。たとえ、自らの生が消えてなくなる日が来たとしても。

あらすじ

 従妹の美夏は幼い頃に両親を事故で亡くしてから、僕と本当の兄妹のように幸せに暮らしていた。
 僕が箏を奏で、美夏がそれに合わせて歌う。
 美夏の歌声に惚れている僕は、箏を弾くのが楽しみで仕方なかった。
 しかし、ある日突然、そんな日常は終わりを告げて……

 重い難病に侵された彼女に寄り添う僕の、悲しくも美しい純愛ストーリー。

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純愛  切ない        別れ      シリアス