エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
暫定恋人
◇◆◇
あの別れ話から一週間、平日の仕事には特に影響なく過ごせた。寧ろ、仕事をしている方がなにも考えなくて済んだから楽だったように思う。
ただ、食事の量だけはいつもより格段に減っていた。ひとりでいると、まったく食欲が湧かないのだ。
最初の二日ほどは気にせず、お腹が空いたらそのうち食べられるだろうと楽観的に構えていた。昼食は仕事の仲間と行くので、それほど量の多くないものをかろうじて食べることができていたからだ。
ところが三日過ぎても食欲は戻らず、昼食も段々と苦しくなった。さすがに仕事中に倒れてはまずいと、食べやすそうなものを物色する。
どうにか食べる気になれたのは、コンビニの総菜コーナーにあるスープ類だ。野菜がたっぷり入っていて、レンジで温めるだけで本格的なスープが出来上がる。
種類も豊富で、肉団子や春雨なんかも入って栄養はあるし、野菜もしっかり柔らかくなっているから胃にも優しい。
しかし、金曜日にとうとう稲盛さんに言われてしまった。
「後藤さん、ちょっと痩せた?」
彼女とは、仕事のデスクが隣同士だ。一番顔を合わせる彼女の目は、誤魔化せなかったらしい。それでもあまり心配されないように、冗談ぽく話を持っていく。
「そうですか? ちょっとダイエットしてたから」
「なんで急に? 元々細いじゃない。あんまり無理なダイエットしたら病気になるよ?」
心配そうに眉を顰めて、私の顔を覗き込む。数日食べられない程度だったが、ほとんど口に入れられなくて確かに少し体重は減った。少しでも急だったため、顔に一番現れたから稲盛さんにもわかってしまったんだろう。
あの別れ話から一週間、平日の仕事には特に影響なく過ごせた。寧ろ、仕事をしている方がなにも考えなくて済んだから楽だったように思う。
ただ、食事の量だけはいつもより格段に減っていた。ひとりでいると、まったく食欲が湧かないのだ。
最初の二日ほどは気にせず、お腹が空いたらそのうち食べられるだろうと楽観的に構えていた。昼食は仕事の仲間と行くので、それほど量の多くないものをかろうじて食べることができていたからだ。
ところが三日過ぎても食欲は戻らず、昼食も段々と苦しくなった。さすがに仕事中に倒れてはまずいと、食べやすそうなものを物色する。
どうにか食べる気になれたのは、コンビニの総菜コーナーにあるスープ類だ。野菜がたっぷり入っていて、レンジで温めるだけで本格的なスープが出来上がる。
種類も豊富で、肉団子や春雨なんかも入って栄養はあるし、野菜もしっかり柔らかくなっているから胃にも優しい。
しかし、金曜日にとうとう稲盛さんに言われてしまった。
「後藤さん、ちょっと痩せた?」
彼女とは、仕事のデスクが隣同士だ。一番顔を合わせる彼女の目は、誤魔化せなかったらしい。それでもあまり心配されないように、冗談ぽく話を持っていく。
「そうですか? ちょっとダイエットしてたから」
「なんで急に? 元々細いじゃない。あんまり無理なダイエットしたら病気になるよ?」
心配そうに眉を顰めて、私の顔を覗き込む。数日食べられない程度だったが、ほとんど口に入れられなくて確かに少し体重は減った。少しでも急だったため、顔に一番現れたから稲盛さんにもわかってしまったんだろう。