7歳の侯爵夫人
◇◇◇

これが、コンスタンスが事故に遭うまでの顛末だ。
頭を打った彼女は眠り続け、俺はずっとその傍らで祈り続けた。
どうか、どうか元気なコンスタンスに会えますようにと。

しかし3日後に目を覚ましたコンスタンスは7歳の女の子に戻っていて、俺の存在はすっかり無いものになっていた。
彼女の中から、俺が消えたのだ。
当然、俺の謝罪も、俺が彼女と夫婦としてやり直したいという気持ちも伝えられないまま。

7歳までの記憶しかない彼女は、結局実家のルーデル公爵家に引き取られることになった。
俺はその間、何度も彼女への面会を申し入れるために公爵家に足を運んだ。

このまま離縁するなど、到底受け入れられなかった。
たとえ記憶がなくとも、彼女は俺の、妻なのだから。
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