7歳の侯爵夫人
エリアスはバツが悪そうにオレリアンを見た。

ルーデル公爵家ではもう、オレリアンのコンスタンスに対する気持ちを疑ってはいない。
だから離縁させようなどとは思っていないが、だが、オレリアンを認めると同時に、違うことが心配にもなった。

コンスタンスは子供なのだ。
近衛の騎士であり、侯爵という地位があり、そして立派な成人男性であるオレリアンが、妻も抱けず、子作りも出来ないなど、申し訳ないとさえ思う。

だがオレリアンはそんなエリアスに向かって笑顔を見せ、きっぱりと言い切った。

「義兄上、その可能性は私も考えていました。でも、例えそういう意味での夫婦になれなくとも、私は生涯コニーを唯一の妻と心に決めています。彼女がこのまま少女のままであっても離縁して他の妻を迎えたり、ましてや、妾を持つなどあり得ません。ずっとコニーだけを愛し、守っていくと誓います」

「オレリアン……、すまない。いや、ありがとう」
エリアスは今にも泣きそうな顔で笑った。
その義兄の顔を見て、オレリアンも笑う。

「感謝するのは私の方ですよ、義兄上」

オレリアンはその夜、ルーデル公爵邸に泊まった。
妻のいない自宅に帰るのは嫌だったし、コンスタンスが目覚めた時、一番最初に会うのはいつだって自分でありたいと思ったからだ。
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