7歳の侯爵夫人
「義兄上…、私は騎士団を辞めて、コニーを連れてヒース領に戻りたいと思います」
オレリアンが思いつめたように言うのを聞き、エリアスは驚いた。

「辞めてどうする?領地経営に専念する気か?」
「コニーを王都に置いておきたくないのです。コニーが頭痛を起こすたび、私は胸が抉られそうになる。記憶がどうとかより、私はコニーが苦しむのを見たくない。王都から…、王太子殿下から離れれば、コニーは良くなるような気がしてならないんです」
「しかし、君は優秀な騎士で、それを誇りに思っていたはずだ。辞めるだなどと…」
「コニーの健康には変えられません。私はコニーが元気で、私の隣で笑っていてくれればいいのです」
「しかし…。妹はいつまでこの状態かわからない。記憶が戻るかもしれないしずっと戻らないかもしれない。この先緩やかに成長するかもしれないが、もしかしたら子供のままかもしれない。私がこんなことを言うのはおかしいが…、君はその、それでもいいのか?
コニーはこのまま妻の務めを果たせないかもしれないし、その…、子供など、望めないかもしれない」
< 199 / 342 >

この作品をシェア

pagetop