異世界で先生になりました~ちびっこに癒されているので聖女待遇なんて必要ありませんっ!~

ラピスラズリ家2

「……どう思う?」

「明らかに外国の方ですね。あのようなお召し物は見たことがございません。それに、貴族の方でもない。……ですが、所作を見ると粗暴というわけでもなく、お話を聞いている限りでは知識もおありですね。」

「うん。何より、リーナが全くと言って良い程警戒していない」

リーナ達が退出し、レイモンドはセバスと瑠璃について話し合っていた。

リリアナは、極度の人見知りだった。

厳密に言えば、人の悪意に敏感で警戒心が強い。

家族や生まれた頃からの使用人にはそうでもないが、まだ雇われて日の浅い者の中には、その声すら聞いたことがないと言う者もいる。

だからと言って話せないわけでも、感情がないわけでも無いので、皆それ程気にはしていなかった。

だが、問題もあった。

リリアナは侯爵家の令嬢だ。

幼い頃からの教育が必要である。

その為、家庭教師が派遣されたのだが、これが全く慣れなかった。何度も人を変えてみたが、結果は全員お断り。

それはそうだろう、まず会話が成立しない。

だが、リリアナが「あのひと、へん」と言った教師が問題のある人間だと後に判明した事もあるので、リリアナの警戒心が功を奏した例もある。

なので、一方的にリリアナに言うことを聞くように言い含めることも出来なかった。

そんな時に現れたのが、瑠璃だ。

聞けば、初対面から会話もしたらしい。

兄やセバスなど親しい者もいない状況で、どう考えても怪しい人物相手に。

これは今までに考えられない事であった。

初めはレイモンドやセバスも瑠璃を警戒していたが、言動は礼儀正しく、服装は変だが清潔感があった。

何より、リリアナが一緒にいたいと、おそらく家族以外で初めて言ったのだ。

これは……と思うのも当然である。
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