【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
8、地上1万メートルのプロポーズ
「遅くなりました! スタンバイから参りました北見菜月です。ファーストクラスを担当させていただきます、よろしくお願いいたします!」
秋も深まる10月半ば。
私が息を切らしながら客室センターに駆け込むと、長机を囲んでブリーフィング中だったCAたちが一斉にこちらを向いた。
「ご苦労様、もうブリーフィングは終わったから今すぐ移動して」
「えっ、あっ、はい!」
――やっぱり間に合わなかったか!
今日はスタンバイで自宅待機中に呼び出しがあり、慌てて着替えて駆けつけた。
けれどギリギリもギリギリ、なんとほんの1時間前に電話がかかってきたのだから、これでも頑張ったほうだと思う。
だって今日のフライトはニューヨーク行き。2泊分の荷物をスーツケースに詰めて準備しなくてはならなかったのだから。