結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

王都へ

 ソフィアは立ち上がると、アルベルトのくれた白い帽子に手を伸ばした。次にこのセイリュースに来る時は、きっと彼も一緒だ。ソフィアはそれ以外の未来を思い浮かべることはなかった。





 すでに秋の気配が漂う王都に戻ると、ソフィアは銀杏並木をミリーと一緒に毎日歩いていた。セイリュースにいた時のように、屋敷に籠らないでなるべく外出する。

落ち葉を踏みしめながら歩くと、押し寄せてくる不安を思い出さずに済むからだった。気がつけば、アルベルトと別れてから二か月が過ぎようとしていた。

 彼からは求婚のための訪問も、約束したソフィアの肖像画も手紙一つさえ届かない。次の満月までに、と言っていたのにもう二度も満月の夜が過ぎていた。

(アルベルト、まだ迎えに来てくれないの? どうして手紙も来ないの?)

 身分を証するという指輪は誰にも見せずにしまってある。アルベルトから、一言でもいいから連絡が欲しいけれど何もない。

(もしかしたら、怪我をしているとか……、何かあったのかしら)

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