【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情

拗れた恋の行方は!?

最初の山場を乗り越えたジュリエットは、窓を開けて朝日を浴びながら深呼吸していた。

(私の……ジュリエット・カイネラの新しい人生はここから始まるのよッ!!)

そう思ったものの……本来退場するはずの自分がこの世界に居てもいいのかと朝食のスコーンを食べて、優雅に紅茶を啜りながら疑問に思っていた。
すっかりこの世界の生活に馴染んだ自分の適応能力が怖い。

(これって……悪役令嬢の役割が終わった感じ?)

本来はベルジェの近衛騎士を殺してしまい牢の中に入る『ジュリエット』とは明らかに本編とは違う流れになっている。
ベルジェの側にいた騎士も殺していない。
斧は相変わらず壁に立て掛けてある。
ベルジェの証言のお陰で、マルクルスとの婚約も向こうに非がある形で解消される事となり慰謝料も頂いた。

(……そもそも原作ではルビーとベルジェが何だかんだで結ばれていく内容だった気がするけど)

ここ数日、原作の小説の内容をずっと考えていたが、残念な事にハッキリとは思い出せなかった。
悪役令嬢以外は特に印象に残っていないのは仕方のない事だろう。

(あれだけ沢山、本を読んでいたから……)

仕事のストレスから逃げるように、現実逃避をする為に大量に読み漁っていた本の中の一つだった。

(確か……中盤の悪役令嬢はベルジェの妹、キャロラインだった気がするわ)
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