【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

八(グルとばっちゃん)

 エルモを見送ると、グルと地主のばっちゃんはエルモについて話しをしだした。

「ばっちゃん……俺。エルモが……」

「わかっておる。グルは一目見てあの子を気に入ったのじゃろ。ワシらがそうなれば……もう誰も止めることはできぬ」

 グルは"そうだ"と首を縦にふる。

「だけど……俺の、本当の姿を見せてエルモに怖がられて、嫌われたくない」

「わかる、特にお前はなぁ、グル。でも、なんとなくだが、あの子は大丈夫かも知れんぞ」

 そのばっちゃんの言葉にグルは瞳を大きくした。

「ハァ? なにを根拠にそんなことをいえる?」

「ホッホ、相思相愛だったワシが見本じゃてなぁ、じーさん」

 ばっちゃんはダンスの上に飾られた、若い頃の写真を懐かしそうに眺めた。

「そうだ、ばっちゃんとじーちゃんは村で一番の仲良し夫婦だった。子供のころに俺もそうなりたいと憧れていたよ」

「ふおっ、ふおっ。人も羨む仲じゃった」

 幸せそうに微笑むばっちゃんを見て、グルも微笑み……いま、寂しげな瞳をしているエルモに笑ってほしい。

 ーーあの子の、悲しい瞳はみたくない。
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