敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
最終章 殿下は正妃に愛を乞う
 その日の夜。
 殿下が私の部屋を訪ねてきた。
「遅くなってすまない。話がしたい、部屋に入らせてもらっても?」
 彼はあれだけの怪我を負ったにも関わらず、尖塔を下りてからずっと各地の状況を集めたり、混乱の残る地区の収束に担当官を向かわせたり、息つく間もなく働き通し。この時間になってやっと体が空いたようだった。
 本当に殿下の仕事ぶりには頭が下がる。
「それはもちろん構わないのですが……」
「ん? なにかまずかったか?」
 私は扉を大きめに引き開けて、中の様子を見せる。
 ちなみにこの時、室内ではガルニア王国では珍しい毛足の長い絨毯の上に直接座るスタイルで、人間サイズの精霊たちがお茶とお菓子片手におしゃべりに興じていた。
 なぜソファではないのかと言えば話は簡単、私も含めて大人五人ではソファが定員オーバーだった。私の部屋はスペースにはゆとりがあるが、生憎この人数の利用を見越した家具は揃えていないのだ。
「なるほど。構わんのなら、俺も同席させてくれ」
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