敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第一章 祖国の敗戦と呪われた王女の処遇
 私はアドランス王宮の王の間で、一段高い玉座に向かってひれ伏していた。
「エミリア、そなたの輿入れが決まった」
 全身をゴテゴテと下品なほどの装飾品で飾り立て、尊大な態度で玉座にふんぞり返っているのは継母である女王だ。彼女からかけられた第一声を、どこか他人事のように聞いた。
 ……へぇ。
 一拍の間をおいて感じたのは、喜びでも悲しみでもない。ただ頭の中で『そうなんだ』と純粋な理解のみが広がる。
「ガルニアの王太子に側妃として嫁げ」
 そうか。どうやら私は戦勝国に実質的な人質として向かうらしい。前国王の妾の子である私の厄介払いには最適な処遇だとひとり納得する。
玉座から私を見下ろす継母は、もともと王家の外戚の出で前国王の王妃だった。それが前国王の死去によって、幼い王太子が成人するまでの期限付きで暫定的に王となった経緯があった。
……いくら期限付きとはいえ、この人を王位に就かせたのがそもそもの間違いだったのよね。
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