竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

04 私の人生終了のお知らせ


「舌の傷が治っただろう? 私の体液には傷を治す力があるからな。感謝しろ」
「は、はひ……」


 終わった。私の人生終わったわ。絶対に殺される。私は全身の力が抜け、ずるずると床に座り込んだ。背後からは女性達の阿鼻叫喚な悲鳴が飛び交い、私の背中にまでビリビリと振動が伝わってくる。バタバタと人が倒れた音もして、後ろは絶対に振り返れないし、振り返りたくもない。


 しかしそんな自分が起こした修羅場は全く気にならない様子で、竜王は私に背を向け歩き始めた。なにやら上機嫌のようで、鼻歌まで漏れ聞こえてくる。


「シリル、今日はもういいだろう。こんな状況では交流もなにもない。私は疲れたから帰るぞ」
「はあ……まだ顔合わせは始まったばかりだったのですが。また日を改めるしかないようですね」


 先程私が迷い子である根拠を話してくれたシリルさんは、すごく面倒そうな顔でため息をついている。そんな彼を見て竜王はニヤリと笑い、また私のほうを振り返った。
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