ありのまま、愛すること。

子どもの意志を育てる

教育という事業が、人の人間性を高めるためのものだとしたら、人がなすことのできる最も重要な事業だと思います。

人間は「偶然」「環境」「意志」「遺伝」の産物だと言われます。

遺伝によって与えられた資質を磨き始める過程で、人間が本来備えている美しい資質を高めるために人は生まれてきたのだと、私は信じているのです。

その「美しい資質」とは、思いやりの心、誠実な心、謙虚な心、感謝する心、そして、素直な心のことではないでしょうか。

私は、「意志」の法則を好んでいます。

 ─思い(意志)は、行動を起こす。行動は継続されることにより習慣となる。

習慣は人格をつくり、人格は運命を変えていく。

もし人生が「運」や「遺伝」だけで決まってしまうとしたら、なんとつまらない、味気ないものとなるでしょう。

「意志」こそが人生を決める最大の要素と考えると、人生の妙味を感じます。

母が亡くなったこと、父が会社を清算したことは「運」のなせる業だと思います。

そのときの精神的ショックからか、それこそが私の持って生まれた「業」なのかはわかりませんが、中学を卒業するころまで、私は自分が若いうちに死ぬと思っていました。

その意識は大学を卒業するころまで続いていて、自分の人生は苦しみや悩みが続く人生なのだと、どこかで諦めていたような気がします。

不幸のなかで自分を磨くのだと決めていたほどです。

そうすると、「悪いことが起こるとホッとする」ようにもなっていました。


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