幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 3

夏が終ろうとしている。


あたしは王妃様の後押しを受けて、あのタペストリーの図案と文字を全て書き取った。

代わりに王妃様が望んだのは、タペストリーに書かれている文字の意味だ。

あたしは古文字で記された言葉を説明し、ラドリーン姫の伝説を教えた。


ハルド王家最後の生き残りだったラドリーン姫は、十年間の幽閉の後、父王の敵である王位簒奪(さんだつ)者に復讐しようとした。

後一歩でというところで姫は復讐を止め、敵の息子タレス公に王位を託し、異界の公子と共にこの世界を去ってしまったのだという。


「ラドリーン姫はどうして復讐を諦めてしまったのかしら?」


王妃様は、自分と同じ場所に幽閉されていたラドリーン姫の物語に、とても興味を持った。


「諦めたというより、最初っから復讐なんて望んでいなかったんじゃありませんか?」

あたしはタペストリーを見上げながら答えた。


これってラドリーン姫が織った物だろうか?

それとも、後世の誰かが?


「ほらここ。二人の下の方に文字がありますでしょう? 『我が願いは君が傍らに』と書いてあるんです」

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