幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

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ジェニスタの実家から糸が届いた。


あたしは午前中に修道院の工房で機織りを、午後からは王妃様のお相手をするようになった。

自給自足を旨とする修道院の織機は、本格的な大きな物だった。

あたしはそれでユニコーンのタペストリーを織り始めた。


秋の野でユニコーンが跳ねている図柄だ。


時々織師の尼僧が覗きに来て、技術的な事を教えてくれた。

ウイローミアとロザリンドが様子を見に来る事もあったし、ジェニスタを連れた王妃様がふらっと立ち寄ることも多かった。


あたしは<扉>を織った。

そして、糸と糸の間に召喚呪文を散りばめた。

ローズマリーのために、ユニコーンを召喚できますように――それだけを願った。


もうじき、タペストリーは出来上がるだろう。

王妃様はあたしを、ローズマリーの結婚式に行かせて下さるだろうか……


「次は、わたくしにも何か作っておくれ」

王妃様がねだった。

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