「千紗様」


頭が、重たい。


「千紗様、おはようございます」


如月の声に答えたいのだけど頭が重くて、体だって気だるくて口を開くのですら億劫なのはどうしてなのかしら?

返事をしない私にさっきよりも荒々しいノック音。


「千紗様、失礼したします」


そしてドアの開く音がした。

足早に近づく革靴の音。

それはすぐ傍で止まって、


「千紗様」


また私の名前を呼んだ。

重たすぎる瞼を少しだけ開けてると如月の顔が思ったより近くて、だけど驚くことすら出来ない私の身体。


「どこか調子が悪いのですか?」


調子、悪いのかしら?

そういえば酷く喉が渇いてるわ。


「お水、飲みたいかも」


小さな声でそう言うと如月はベッドサイドにある水差しを手にしてコップに水を。

そして私の体を起こして口元に運んでくれた。

口に含んでゆっくりと喉に滑らせる。

お水がこんなに美味しいだなんて。

一気に飲み干して大きく息を吐いて。


「ありがとう」


そう言うと如月は少し不思議そうな顔をした。

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