あれは中三の夏の出来事。
私は受験勉強で、塾に通いづめの状態だった。
そのせいで
家族と関わる時間が減っていたその矢先
私の元に卑劣な知らせが届いた。

四国に旅行へ出かけていた家族が
事故にあったのだ。

兄は意識不明の重体。
父は軽傷で済んだが、その事故のせいで
何よりも大切だった母を失った。

そしてその事故は
父の心に目には見えない深い傷を与え
私も深く傷ついた。

その知らせを聞いた日を境に
私の人生は変わってしまったのだ。

いままで美しかった夏の太陽が
海から見える夕焼けが
友達の笑顔が
家族の笑顔が
急に色あせた。

何を見ても感動することができなくなり
日に日に笑うことも少なくなっていった。

そして物心ついたとき
私からは笑顔が消え
夢すらも見ることができなくなっていた。