隣に座っていいですか?

口に出せない言葉


家が近すぎる
涙も乾かない距離だ。

荒々しく店のドアを開け
白い四角いテーブルに上半身を預ける。

もう

やだ……。

頬に当たる冷たいテーブル
その上に涙がボロボロ。

「桜ちゃんいたか?」
湯気の向こうからお父さんが言うけれど、返事はできずそのまま灰となる私。

燃え尽きたわ。

怒りより悲しみ。

桜ちゃんの泣きそうな声が
耳の奥で何度もリフレイン。

『お父さんをおいていけません』か……。

いいの?
それでいいの田辺さん。

あの人
田辺さんには優しいけど
きっと桜ちゃんには厳しいよ。
桜ちゃんに対する
愛情もあるかどうかわかんないよ。

いいのそれで?

桜ちゃんの為に
新しい奥さんを迎えたんでしょう。

あれで
桜ちゃんの為になるの?

もどかしいよ
自分が何もできなくて
桜ちゃんから笑顔が消えるよ。

あの人がいいの?
あの人が好きなの?

身体の相性って何よ。

涙が止まらない。



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