私は異世界の魔法使い?!
・小さな宮殿
……なに、ここ。
天井の開いた頭上に広がるのは、満天の星空。
天の川を思うほどの星が画面いっぱいに広がり、キラキラと瞬いている。
その中に一つだけ大きな星。
まるで月のよう……。
けれどその輝きは月とは違い、薄紫色の光を放っている。
「……きれい」
ほぅ、と小さな溜め息が零れ出てしまうほど、そこに広がる世界は美しかった。
手を伸ばせば小さな銀河がそこにある……そう思わせるほどに優美なる世界。
「実亜!」
心地よい低音の声が聞こえたと思った矢先、駆け上がってきたアルフレッドに胴体を掴まれ、彼は跳躍した。
頭上に輝く銀河の世界に飲み込まれるように、高く、高く……。
アルフレッドの背後からやって来ていたサイの角が青白く光る。
ーー雷撃が来る!
そう思った矢先、入り口の扉は音も無く、消え去った。
私達の足元には入り口らしいものはおろか、地面すら見えない。
ただ、反射するように床一面に広がるのは、空に浮かぶ星々。
そしてその中にぼんやりと映し出される私とアルフレッドの姿。