「唐沢隼人くんが行方不明になりました」
クラスの人気者が突然消えた。困惑と惧れの中にいるクラスメイトたちを、“僕”はひどく冷静に見ていた。…と、いうのに。
「私と一緒に隼人を捜しに行こう」
——…唐沢隼人の彼女の一言で、僕のすべてが変わっていく…。
*
晩夏の風情を伴い清らかに浮かんでくる情景、繊細な絹の糸のような心理描写。そして最後まで一瞬たりとも目が離せない展開。
すべてに圧倒され、胸を打たれ、余韻に包まれ、結末を知っても尚繰り返し読んでいました。読後に毎回触れる眩しさと爽やかな心地良さが愛しくてたまりませんでした。
これからも読み続けたい、宝石のような作品です。
いらない明日を捨てに行くことは、必要な明日を拾いに行くこと。
彼は、彼女は、そして僕は。
明日へ向かうために駆けた者たちを、交錯する秘密に想いを馳せながら、ぜひたくさんの方に見届けて頂きたいです。