美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚☆。・*Who is……。*




 . ゜
。 。
 。





「ん……」


なんだろう。


すごくあたたかい。


誰かがわたしの頭を撫でてくれている。




ひょっとして、お父さんかな?

優しい手の感触は、父を思わせるような、あたたかなもの……。




――ああ、だけど、お父さんはもう、この世にはいない。




わたしが、殺してしまったから……。





そう思うと、鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなる。

涙は閉じた目から溢(アフ)れて、目尻を伝って流れていく……。




ここがどこで、今、わたしはどうしているかなんて、考えたくはなかった。




……今だけ。


今だけでいい。


すべてのしがらみから離れて、ただ泣かせてほしい。



素直に、お父さんの死を、悲しませてほしい。



わたしはそう願った。



すると、目尻から流れ出る涙をそっと拭ってくれるような指を感じた。



それに……甘い香り。




この匂い、なんだったっけ?


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