極上ショコラ【短】
「……何でしょう?」


暴君の条件が生易しいものでは無いのは、答えを聞く前から明白。


篠原の無理難題には免疫が付いて来たものの、何を提示されるのかと身構えた。


「お前も泊まっていけ」


「……はい?」


「ホテルだよ。パーティーの後、お前も泊まれよ」


予想よりも遥かに優しい条件にホッとしたけど、隙を見せたらどんな難題が付け足されるかわからない。


そんな気持ちから安堵を隠し、一つの不安材料を口にした。


「あたしは、出席出来ないと思いますけど……」


著名人が出席するパーティーに、一社員が出られる訳が無いのだ。


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