祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………ありがとう。カンナといた20年間は本当に幸せだったよ。でも俺は、美咲さんといなきゃならない。それが兄貴への償いだから」


「それはカゼのエゴよ。お兄さんはそんなの望んでない!…お願いだからいなくならないで。私と付き合わなくてもいいからそばにいてよ」


「………俺もカンナの事好きだよ。でも恋愛感情じゃない。それは一生変わらない」




カゼは服を掴むカンナの手を優しく離すと、服を搾り家の中に入っていった。



カンナは水溜まりの出来る庭に座り込むと、地面に手をついて震え出した。




「風は掴めないものね。カゼも…おんなじ…」




幼なじみで生まれた彼らの間には

恋愛感情は芽生えなかった。



家族みたいに当たり前に毎日を過ごしてきた関係は、それ以下でも以上にもならない。




小さい頃から位置づけられた存在は、形を変える事はなかった。





「ケン、今日何作るの?」


「うーん…。どうしよっか。ってか、カンナとカゼがやっと結ばれたんだから2人にしてあげたくない?」


「ケンは気が利くね。じゃあ私達は外で食べよっか」




カゼとカンナが結ばれたと思い込んでいるキヨとケン。




「カゼは177cmでカンナは170cmも身長あるから、抱き合ってる姿が凄く絵になってたよね」


「まぁね。30cm以上差があるイノリとキヨよりは絵になってたかな」


「…うん。私とイノリは似合わないよね」




誰がどうみても私とイノリは似合わない。


特別可愛くもない私とカッコいいイノリが似合うワケがない。



そんなの昔から分かりきってたこと…




「キヨには172cmの俺が合うよ♪それよりキヨ、何食いたい?」


「何がいいかな。今日はカンナとカゼのお祝いも兼ねて奮発しちゃおうか!」


「いいね!高級なフレンチレストランでも行くか〜?」


「よしっ!決まり♪」




祝うべき人達はいないのに勝手に祝杯を決めたキヨとケンは、高級レストランへと車を走らせた。
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