祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「キヨ、どこ行ったのかなぁ…。電話に出ないし、トイレにしては長すぎるし」



ケンは1人、ファミレスでキヨを待ち続けていた。





「キヨはまだ、イノリを想っているのかな…」



ケンはストローに息を吹き、飲み物をブクブクと吹いていた。






その頃ホテルのベッドでは、ぐったりと息を切らしたキヨとカゼが寝そべっていた。


カゼは隣りで寝そべるキヨの髪を優しく撫でる。




「…私…イノリに対してもカンナに対しても最低な事しちゃったね。もう誰かを責める権利はない」


「………キヨは悪くない。俺が無理矢理した事だ」




キヨはのっそりとベッドから起き上がると、服を着た。





「私、あの家を出る。カンナに合わせる顔がないもの…」

「………キヨは悪くないって言ってるだろ」

「カゼ?私に悪い事したと思うなら、カンナのそばにいてあげて。それが私への罪滅ぼしよ」




キヨは携帯を開くとケンに電話を掛けた。





「ケン、ごめんね?いきなりいなくなって。今から家帰るからケンも帰っていいよ。…うん。じゃあまた」




キヨは通話を切ると、バッグに携帯をしまいカゼに体を向けた。


カゼは悲しそうな顔をしている。




「…20年間ありがとう。私、地元に帰るよ。ここにいても私のしたい事も居場所も…もうないから。みんなをよろしくね。それと…カンナと仲良くね、カゼ」




キヨは薄く微笑むと、ホテルから出て行った。



カゼは頭を掻きむしるとベッドの縁を殴った。
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