祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
その日の夜。


お風呂を済ませた5人が各部屋でそれぞれの時間を過ごしていると

もう深夜だというのに玄関のドアが開く音が聞こえた。




キヨが部屋から出ると、出掛ける恰好をしたカゼが家から出て行こうとしていた。




「カゼ?もう夜中だよ!?どこ行くの?」

「………彼女に呼び出された」

「こんな時間に?」



カゼは頷く。


キヨは出て行こうとするカゼの服の裾を引っ張った。




「………何?どうした」

「行っちゃダメ!私がこんな事言うのも何だけど…カゼ利用されてるよ。こんな時間に呼び出すなんて勝手過ぎる!!旦那さんがいるのに、大学生のカゼを振り回すなんて……私が許さない」




カゼは離さまいとするキヨの手を払うと、優しくキヨの頭を撫でた。




「………ありがとう。だけどこれは…俺が望んだ事だから」

「カゼ!!」




カゼはそのまま真っ暗な夜の街へと消えて行った。
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