スイートホーム
答えながら、小太刀さんは私の背後に、かなり距離を開けて佇んだ。


「あ、もしかして小太刀さんもこのコーヒーですか?」


「ああ」


「ち、ちょっとお待ち下さいね」


急いで取り出し口に視線を向けると、ちょうどタイミング良く終了の赤ランプが点灯した所だった。


急いで蓋を開けてコップを手に取ると、彼にそのポジションを明け渡す。


「お待たせしました」


「ん」


小さく頭を下げ、自販機に近付くと、小太刀さんは小銭を入れて何の迷いもなく私と同じ種類のコーヒーのボタンをプッシュした。


ほんの数秒の早業だった。


相変わらずキビキビとした身のこなしだこと。


「あ。あの、先ほどはありがとうございました」


一瞬見とれてしまったけれど、すぐに我に返り、機械がせっせとコーヒーを製造している間にお礼を述べる事にする。


「友達を追い払って下さって…。って、いや、その言い方は何だかおかしいですけども」


我ながらしどろもどろであった。


無駄に緊張し過ぎでしょうよ私、と内心突っ込みを入れながら何とか続ける。


「とにかく、とても助かりました」


「……嫌でも、向き合わなくてはならないから」


すると小太刀さんは機械の方を向いたまま、おもむろに口を開いた。


「自分が望んだ訳ではないのに、何故こんな事に労力を使わなくてはいけないのかと、とても理不尽に思うけれど」
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