スイートホーム
『んー…。でも、加奈が話すって言うんだから、彼女からきちんと説明してもらった方が良いと思うんだ。私じゃ又聞きの又聞きになっちゃうし。伝言ゲームは危険だよ』


「えぇ~」


『とにかく、当日よろしくね。あ、洗濯終わったかな?じゃ~ね!』


私にそれ以上言う隙を与えずに、麻美はさっさと電話を切ってしまった。


な…。


何なの?もうー。


私はため息を吐きつつケータイをテーブルに置く。


加奈は一体私に何を言うつもりなんだろう?


普段はのんびり穏やかだけれど、実は熱い一面も持ち合わせていて、必要な場面ではきっちり物申す、という性格のあの加奈が。


「んも~!やっぱり気になって仕方ないよー!」


私は恨みがましくそう言いながら、ラグの上に投げ出していた足を曲げたり伸ばしたりしながらバタバタと上下させ、その揺れに任せて上半身もアトランダムに動かした。


転職してここに引っ越した際、思い付く限りの知人にその旨伝えるメールを送信した。


その中で、予想はついていたけど柳田さんの存在を知り、そろそろ私達が婚約間近だった事を知っている高校時代の仲間内からは『何でいきなり転職?』『住み込みって…彼とはどうなってんの?』という質問がメールや電話で矢継ぎ早に寄せられた。


そこで初めて、皆に梨華とのいざこざを説明したのだ。
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