スイートホーム
「分かった。じゃ、その件に関しては今は保留ね」


ほどなくして私のアイスカフェオレも無事運ばれ、その後はそれぞれ飲み物で喉を潤しつつ近況報告をしあった。


「そろそろ行こっか?予約時間近付いて来たし」


話が一段落した所で麻美がそう呼び掛け、私達は席を立ち、次の目的地へと向かう事にした。


今居る場所から車で15分ほどの距離にあるらしく、事前に打ち合わせしていた通り、駅まで戻ってロータリー付近で客待ちしていたタクシーに乗り込む。


一人ではめったに使わないけど、3人で割り勘すれば大した金額にはならないし、親しい仲間だけで気兼ねなく移動できるんだから、こういう時くらいタクシーを活用しないとね。


「わー、何か豪華な外観!」


「いかにも中華!って感じだね~」


予定していた時刻に無事お店までたどり着き、ひとまず代表で加奈がタクシー代を払い、駐車場へと降り立った所で、麻美と私は思わず歓声を上げてしまった。


この前電話で話したあと、『言い出しっぺの加奈がお昼のお店を予約してくれるって。中華とイタリアンと和食のうち、どれが良い?』と麻美からメールが来たのだ。


しばし悩んでから、「一人で中華っていうのはなかなか挑戦できないから、この機会に行きたいかも」と希望を出した所、二人とも賛同してくれた。


「旦那が接待で使ったお店らしいのよ」


重厚な木の扉を開けながら加奈が解説する。
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