スイートホーム
「人の物じゃなくなった男への興味が、一気に薄れたってだけの話でしょ。そういう子なのよ、あの子は」


「……そこまで行くと、何だか恐怖を感じるよね…」


眉根を寄せながら発せられた加奈の言葉によって、その場にひんやりとした空気が流れ、思わず3人とも黙りこんだ。


本当に、梨華は人当たりは決して悪くない。


保育課程のある大学を選んだくらいだから子どもも大好きだし、実際に、今働いている幼稚園では園児からはもちろん保護者からの評判もとても良いようだ。


最初、梨華の就職先が決まった時、仲間内では「まさか園児の父親にアプローチをしかけたりはしないよね…」などと危惧していたらしい。


『らしい』というのは、私はまだその頃梨華とは良好な関係を築いていて、彼女の陰口のようなものを聞くとすぐにフォローしたりしていたので、私の居ない場所で繰り広げられていた話題だったからだ。


その話はつい最近、麻美から聞かされたのだ。


でも、幸いな事にそれに関しては杞憂に終わった。


さすがの梨華も、既婚者をターゲットにしようという気はなかったようだ。


不倫なんかしたら唯一順調にいっている仕事まで失ってしまって自分で自分の首を締める羽目になるし、法的なペナルティは課せられない状態で、誰かの愛する人を奪う行為を楽しんでいるのだろう、という結論に達したらしい。
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