スイートホーム
言葉だけを捉えるととても威勢が良いようだけれど、しかし声は掠れていて、背中を丸め、正面から見据えて来る小太刀さんから微妙に視線を反らしている男性はかなりびくついているように見えた。
「あ、あとで、会社に苦情入れてやるから覚えとけよ!ほら、ゆい、行くぞ!」
そのまま男性はゆいちゃんの手を引いて小太刀さんの横をすり抜けようとしたけれど、当然逃げられる訳がない。
スッと摺り足で移動して再び二人の進路を遮ると、小太刀さんはゆいちゃんに向けて穏やかに問いかけた。
「そうなの?ゆいちゃん。この人がお父さんなのかな?」
「…ううん」
ふるふると首を振りながらゆいちゃんは否定した。
「パパは今日お仕事だよ。ママとお昼ご飯食べたあとおトイレに行って、ゆいの方が先に終わったからほんやさんで待ってたら、このお兄ちゃんがママにたのまれて私を迎えに来たって…」
言い終わらないうちに、突然男がゆいちゃんを突き飛ばして走り出した。
「あっ」
息を潜めて成り行きを見守っていた私達は、思わず声を上げながら床に転がったゆいちゃんに駆け寄る。
「大丈夫?」
それが正しい行動だったのかは分からない。
そこまでのやり取りで、男がゆいちゃんを拐おうとしていた事はもう明白である。
「あ、あとで、会社に苦情入れてやるから覚えとけよ!ほら、ゆい、行くぞ!」
そのまま男性はゆいちゃんの手を引いて小太刀さんの横をすり抜けようとしたけれど、当然逃げられる訳がない。
スッと摺り足で移動して再び二人の進路を遮ると、小太刀さんはゆいちゃんに向けて穏やかに問いかけた。
「そうなの?ゆいちゃん。この人がお父さんなのかな?」
「…ううん」
ふるふると首を振りながらゆいちゃんは否定した。
「パパは今日お仕事だよ。ママとお昼ご飯食べたあとおトイレに行って、ゆいの方が先に終わったからほんやさんで待ってたら、このお兄ちゃんがママにたのまれて私を迎えに来たって…」
言い終わらないうちに、突然男がゆいちゃんを突き飛ばして走り出した。
「あっ」
息を潜めて成り行きを見守っていた私達は、思わず声を上げながら床に転がったゆいちゃんに駆け寄る。
「大丈夫?」
それが正しい行動だったのかは分からない。
そこまでのやり取りで、男がゆいちゃんを拐おうとしていた事はもう明白である。