スイートホーム
その犯人を捕獲するべく、警備員さんが奮闘している場面に第三者が割り込んだりしたら邪魔だし危ないし足を引っ張る事になってしまうかもしれない。


だけどそんな事を考えている余裕もなく、勝手に体が動いてしまっていたのだ。


「ふぇぇ~ん」


「怖かったね、もう大丈夫だからね」


「すぐにお母さんと会えるよ」


「どこか痛い所はない?」


「いてててて!」


すると、加奈の質問に答えるかのようなタイムリーさで、背後から男性が悲鳴を上げた。


振り向くと、小太刀さんが男性を羽交い締めにして両手をまとめて背中で捻り上げている所だった。


ゆいちゃんの方に気を取られていてその瞬間は見ていなかったけど、きっと無駄のない、俊敏な動きだった事だろう。


「な、何すんだよ!離せよ!」


「申し訳ないですが、このままお帰しする訳にはいきません」


「何でだよ!俺は客だぞ!」


男性はそう喚きつつもがいていたけれど、小太刀さんの拘束から逃れられる気配はなかった。


「客に対してなんなんだよその態度は!しかも俺は迷子を保護してやったんだぞ!」


「……先程のお話と、だいぶ内容が変わっておりますが」


小太刀さんは冷静に言葉を返す。


「なぜ、嘘をついたんですか?私がお声かけした時点で、引き渡して下されば良かったと思うのですが」
< 131 / 290 >

この作品をシェア

pagetop